【Enjoy! カリグラフィー】第1回 ペン先の形が重要!カリグラフィーが書ける文房具
by はまね先生 Hamane senseiはじめまして。日本で数少ないプロのカリグラファーとして活動しているはまね先生です。
今回から連載「Enjoy! カリグラフィー」シリーズをお届けします。「カリグラフィーに興味があるけれど、まだやったことがない……」という方の羅針盤となれば嬉しいです。
第1回目のテーマは「カリグラフィーが書ける文房具~書体とペンの組み合わせ~」です。
「カリグラフィー」ってどんなもの?
カリグラフィーとは”美しい手書きのアルファベット”のこと。
カリグラフィーにはいろいろな書体があり、書体に合ったペン先を選ぶ必要があります。
ですが、難しく考えなくてOK!ペン先の種類はたった2つしかありません。早速、書体とペン先の関係を見ていきましょう。
書体の種類は多種多様!
カリグラフィーの技法が確立されてから、世界中で無数の書体が生まれてきました。日本で習い事として扱われているだけでも30以上はあるのではないでしょうか。
では、具体的にいろいろな書体を見てみましょう。
12ヶ月の月名をそれぞれ異なるカリグラフィーの書体で書きました。
1月/カッパープレート 2月/ゴシック 3月/スペンサリアン 4月/コンプレスト 5月/アンシャル 6月/モダンカリグラフィー(スタイリッシュ) 7月/ルタンダ 8月/ラスティック・キャピタル 9月/モダンカリグラフィー(POP) 10月/カロリンジャン 11月/フラクチャー 12月/イタリック
細い線の書体や、どっしりした形、丸みがかわいいものなど、カリグラフィーのスタイルはさまざまです。
2種類のペン先とは?
実は、これらの月名はたった2種類のペンで書くことができます。
●太字系書体×幅の広いペン先(ブロードペン)
太字系書体は幅の広いペン先を持つ「ブロードペン」で書くことができます。
まっすぐな軸(ストレートホルダー)にセットし、ペン先を斜めにして持ち、線を引きます。細い線はペンの薄さ、太い線はペンの幅で出します。
●筆記体系書体×先の尖ったペン先(ポインティッドペン)
筆記体系書体は先の尖ったペン先を持つ「ポインティッドペン」で書くことができます。
形の変わった軸(オブリークホルダー)にセットして使い、線の強弱は筆圧によってコントロールします。
つけペンの使い方
つけペンにはインクや絵の具をつけて書きます。
つけペンの大きなメリットは色を簡単に変えられること。ペン先を水で軽く洗い、拭いてから新しいインクをつければOKです♪
インク瓶に直接ペン先を入れてインクをつけます。
絵の具は筆でつけます。
カリグラフィーが書ける文房具
「つけペンはちょっと難しそう……」と思った方は、身近な文房具でカリグラフィーをはじめてみませんか。
書きたい書体とペン先の組み合わせをチェックしてから道具を手に入れましょう。
まず、太字系書体が書けるおすすめのペンはこちらです。
左から
● ゴシック体…「ZIG カリグラフィーⅡ」(呉竹)
● アンシャル体…「パラレルペン」(パイロット)
● イタリック体…「ハイエースネオクリア カリグラフィー」(セーラー万年筆)
ここでひとつ、知っておきたいカリグラフィーのルールがあります。
小文字の高さのことを「エックスハイト」といい、太字系書体はペン先○個分と書体によって決まっています。
イタリック体なら使うペンの幅の5個分がエックスハイトです。
例えば「ハイエースネオクリア カリグラフィー」の2ミリ幅でイタリック体を書くと2ミリ×ペン幅5個分なので、エックスハイトは10ミリになります。
書体によってペンの幅何個分の数字が違うのが、ちょぴり難しいところ。エックスハイトは書体見本に記載されていることもあるので、チェックするとよいでしょう。
セーラー万年筆の公式サイトからはカリグラフィーの見本と練習用紙をダウンロードできるので参考になります。
続いて、筆記体系書体が書けるおすすめのペンはこちら。線の強弱がでる筆ペンで書けます。
毛筆タイプより硬めのサインペンタイプを選びましょう。
左から
● カッパープレート体…「筆touch サインペン」(ぺんてる)
● スペンサリアン体…「筆まかせ」(パイロット)
● モダンカリグラフィーPOPスタイル…「筆之助 しっかり仕立て」(トンボ鉛筆)
筆記体系書体は筆圧で線の太さを変えるので、エックスハイトはフレックスに決めてOK。上記3種のペンではそれほど大きな文字が書けないので、4~8ミリ程度だとよいでしょう。
左がつけペン、右が「筆まかせ」で書きました。比べてみるとつけペンの方が細さがでていますが、筆ペンでも十分満足のいく仕上がりになります。
ガラスペンや万年筆でカリグラフィーは書ける?
最後に「ガラスペンや万年筆でカリグラフィーは書けるの?」という疑問にお答えします。
残念ながら、ガラスペンや万年筆では、見本通りにカリグラフィーを書くことはできません。
理由は線の強弱が出ないことと、細い線がつけペンと比べると太いからです。
もちろん、見本と同じように書くことにこだわらなければ自由に使ってOK。日常で手書きのおしゃれ文字を楽しむことができます。
このように、どんな書体のカリグラフィーを楽しみたいかによって、使う道具は変わってきます。
まずは今回おすすめしたアイテムの中から気になったものを手に入れて、カリグラフィーをはじめてみませんか?
Writer Profile
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日本で数少ないプロのカリグラファー。 伝統的な書体からモダンカリグラフィーまで書け、オンラインレッスンやオンラインサロンでカリグラフィーを教えています。YouTubeはまね先生チャンネル登録者数は1万人を超え、幅広く手書きの楽しさをお届け中。
著書に『ガラスペンで楽しむ きらめきインクBOOK』(実務教育出版)、『筆ペンで綴る はじめてのモダンカリグラフィー』(グラフィック社)、『モダンカリグラフィー練習帳』(宝島社)、『カリグラフィーレッスンプログラム』『モダンカリグラフィープログラム』(felissimo)など。
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本格的なつけペンから文房具まで、様々な道具で楽しむことができるカリグラフィー。
好きなペンで好きな書体をどんどんお試ししてみましょう!(はまね先生)